UROLOGY

泌尿器科

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泌尿器科について

泌尿器科とは、動物の腎臓、膀胱、尿管、尿道など、尿を作ったり排出する器官に関する病気を専門に診察・治療する科です。ワンちゃんや猫ちゃんが、頻繁にトイレに行ったり、尿が出にくかったり、血尿が出たりする場合、泌尿器科の病気が疑われます。これらの症状は早めに治療することで、病気の進行を防ぐことができます。泌尿器科では、尿検査や超音波検査を使って原因を調べ、適切な治療を行います。

CONSULTATION

このような症状はありませんか?

診察室では症状を示さない場合もありますので、ご家族の皆様が少しおかしいと思ったら、
是非ご自身で動画を撮っていただき、まずはお気軽にご相談ください。

  • 頻繁にトイレに行く
  • 尿の量が少ない
  • オシッコの色が赤い
  • オシッコの匂いがいつもと違う
  • ソワソワしている
DESEASE

ご相談が多い主な病気

尿石症(尿路結石)

病気について

尿石症とは、尿の中に含まれるミネラルなどが結晶化し、膀胱や尿道、腎臓などに「石(結石)」を作る病気です。

よくある症状

結石は膀胱でできることが多く、下記のような症状が見られるようになります。また、結石が尿道や尿管に詰まることを尿道閉塞または尿管閉塞と言い、腎臓病を引き起こし緊急性が高い状態となります。

  • トイレの回数が増える(頻尿)
  • 血尿が出る
  • 排尿時に痛がる

診断と治療

診断は尿検査やレントゲン、超音波検査で行います。
治療は、石の種類によって食事療法で溶かすことができる場合と、手術で取り除く必要がある場合があります。水分を多く摂ることや、定期的な尿検査による早期発見が重要です。

尿石症(尿路結石)を閉じる

慢性腎臓病(CKD)

病気について

慢性腎臓病は、腎臓の機能が徐々に低下していく進行性の病気です。

よくある症状

進行すると下記のような症状が見られるようになります。

  • 多飲多尿
  • 体重減少
  • 食欲不振
  • 嘔吐

診断と治療

診断は血液検査(クレアチニンやSDMA)や血圧測定、尿検査、レントゲンや超音波検査で行い、病期に応じた治療を行います。
治療は腎臓に負担をかけない食事療法や、必要に応じて皮下補液、薬剤による血圧・タンパク尿の管理などが中心です。早期発見・継続的な管理が大切です。

慢性腎臓病(CKD)を閉じる

膀胱炎

病気について

膀胱炎は膀胱に炎症が起きる病気で、主に犬では特に雌に多く、細菌感染によって起こります。猫ではストレスや膀胱結石が原因のこともあります。

よくある症状

  • 頻繁にトイレに行く
  • 排尿時に痛がる
  • 血尿など

診断と治療

尿検査や超音波検査で診断し、原因が細菌であれば抗生剤を使います。結石が原因なら同時にその治療も必要となります。また結石による尿道閉塞の場合は膀胱炎と症状が似ることがあるため注意が必要です。再発しやすいため、飲水量を増やす工夫や定期的な尿検査が予防になります。

膀胱炎を閉じる
FEATURES

泌尿器科の特色

専門的な診断と治療

泌尿器科では、腎臓、膀胱、尿管、尿道に関する病気を専門に扱っています。泌尿器の病気は早期発見と適切な治療が重要であり、経験豊富な獣医師が細かく診断し、効果的な治療を提供します。

専門的な診断と治療

充実した検査設備

当院では、血液検査や尿検査、超音波検査、レントゲンなどを使い、泌尿器系の状態を詳細に調べます。これにより、腎臓や膀胱の異常を早期に発見し、適切な治療プランを立てることが可能です。

充実した検査設備
FEATURES

膀胱鏡を用いた検査にも
対応しています

膀胱鏡について

膀胱鏡とは、膀胱の内部を直接観察するための医療機器です。細いカメラが付いたチューブを尿道から膀胱に挿入し、膀胱内の状態をリアルタイムで見ることができます。これにより、通常の検査では見つけにくい異常や病変を確認できるため、より正確な診断が可能です。

膀胱鏡を使うメリット
精密な診断が可能
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精密な診断が可能

膀胱の内部を直接観察することで、結石、腫瘍、炎症、ポリープなど、膀胱内の細かな異常を正確に確認できます。これにより、他の検査では見逃される可能性のある病変も発見できます。

侵襲が少なく、体への負担が小さい
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侵襲が少なく、
体への負担が小さい

膀胱鏡検査は、外科手術と比較して体にかかる負担が少なく、麻酔を使用して行いますが、手術のように大きな切開が必要ありません。ペットの回復も早く、負担が軽減されます。

より適切な治療計画を決定できる
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より適切な治療計画を
決定できる

膀胱鏡は診断だけでなく、結石の除去や組織の一部を採取する「生検」など、治療にも使用できます。これにより、手術の回数を減らし、短期間で治療が進むことがあります。

手術の必要性を見極めたり、原因不明の症状にも適応
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手術の必要性を見極めたり、
原因不明の症状にも適応

膀胱内の病変を確認し、手術が本当に必要かどうかを判断できます。手術が必要な場合も、事前に詳細な情報を得られるため、治療の成功率が高まります。また、他の検査で病気を特定できなかった場合にも、膀胱鏡で内部を確認することで、原因が特定できる場合があります。

FACILITIES

当院でできること・設備

尿検査

アイコン尿検査アイコン

尿の成分を調べることで、血尿やタンパク、結晶などの異常を確認します。感染症や結石、腎臓の機能が低下している場合に変化が現れます。

超音波検査

アイコン超音波検査アイコン

心腎臓や膀胱、尿管の状態をリアルタイムで映像化し、腫れや結石、腫瘍があるかどうかを確認します。特に、結石や腫瘍の有無を確認するのに有効です。

細菌培養検査

アイコン細菌培養検査アイコン

尿から細菌を培養して、尿路感染症の原因菌を特定します。どの抗生物質が最も効果的かを調べ、適切な治療を行うための情報を得られます。

血液検査

アイコン血液検査アイコン

血液中の腎臓関連の数値(BUNやクレアチニン)を調べて、腎臓の機能が正常に働いているかを確認します。腎不全や急性腎障害を早期に発見することができます。

レントゲン検査

アイコンレントゲン検査アイコン

胸部のX線写真を撮影し、心臓の大きさや形、肺の状態を確認します。心臓が拡大しているか、肺に液体が溜まっているかがわかります。

CASE INTRODUCTION

症例紹介

基本情報

犬種:ポメラニアン(女の子・避妊済)
年齢:10歳7か月 体重:6.0kg 体温:38.5℃

主訴

他の病気の検査のために撮影したおなかのレントゲン写真で、たまたま膀胱に石(膀胱結石)があることがわかりました。

術前レントゲン画像

術前レントゲン画像

術前膀胱のエコー画像

術前膀胱のエコー画像

診断と治療

その後の超音波検査でも膀胱内の結石を確認できたため、飼い主さまとご相談のうえ、膀胱鏡というカメラを使った体にやさしい方法(低侵襲手術)で、膀胱の石を取り除くことになりました。

手術について

手術は全身麻酔で行い、吸入麻酔を使用しました。
まず、おなかを消毒し、超音波で膀胱の位置を確認。そのすぐ上を約1.5cmだけ切開しておなかを開き、膀胱を見えるようにしました。ピンセットで膀胱をそっと持ち上げ、約1cm切開し、その切開した部分と皮膚をいったん糸でつなぎ合わせました(膀胱腹壁瘻〈ぼうこうふくへきろう〉という方法です)。そのつなぎ目から、カメラ(膀胱鏡)と器具を差し込み、膀胱の中を直接見ながら、石を1つずつ丁寧に取り除きました。
すべての石が取り除けたことを確認した後、つないでいた部分を元に戻し、膀胱・おなか・皮膚の順にしっかり縫合して手術を終えました。手術後のレントゲンでは、膀胱内に石が残っていないことを確認できました。

膀胱鏡を用いた手術中の様子

膀胱鏡を用いた手術中の様子

膀胱鏡を用いた手術中の様子

膀胱鏡を用いた手術中の様子

膀胱鏡で確認した映像

膀胱鏡で確認した映像

術後のレントゲン画像

術後のレントゲン画像

この手術の主なメリット

  • 小さな傷で済むため、体への負担が少ない
  • 膀胱の中をしっかり見ながら石を取り除けるので、取り残しの心配が少ない
  • 術後の痛みや膀胱の炎症が起こりにくい
  • エリザベスカラーや術後服が不要なことが多く、動物にとってストレスが少ない
  • 手術の様子を動画で記録でき、ご家族にもわかりやすく説明できる

術後の経過

手術の翌日には元気に退院しました。術後に出ることがある膀胱の炎症の症状も、数日で自然に落ち着きました。10日後に抜糸を行い、治療は無事終了となりました。