2025.06.18
整形外科
両後肢に重度の膝蓋骨内方脱臼を持つトイ・プードルの整復手術
基本情報
- 犬種:トイ・プードル
- 性別:女の子
- 年齢:3歳2か月
- 体重:2.9kg
ご来院の経緯
このワンちゃんは以前から両後ろ足にグレード4(最も重度)の膝蓋骨内方脱臼があると診断されていました。
まず右後肢に痛みが現れたため、6か月前に当院で整復手術を行いました。
その後、今度は左後肢に痛みが出たため、今回あらためて左後肢の整復手術を実施しました。
術前レントゲン検査


手術内容
麻酔下で膝蓋骨(膝のお皿)を正常な位置に戻すことができたため、以下の複数の整復手術を組み合わせて治療を行いました。
- 大腿骨滑車溝造溝術(膝のお皿が正しい位置に収まるよう、骨に溝を作る)
- 脛骨粗面転移術(靱帯の付着部を移動させ、膝蓋骨を安定化)
- 膝蓋骨脱落防止スクリュー設置術
- 内側広筋リリース(内側の筋肉の緊張を緩めてバランスを整える)
- 外側関節包縫縮手術(外側の関節包を縫い縮めて、膝蓋骨を外れにくくする)
これらの手術は骨を切る処置(骨切り術)を含むため、侵襲が大きく、痛みも強く出ることが想定されます。
そのため、当院では手術前からの疼痛管理(痛みのコントロール)を徹底し、ワンちゃんの負担を最小限に抑えるよう努めています。
術後の経過
手術から3週間後には左後肢にしっかりと力が入るようになり、順調に回復しています。
術後レントゲン検査

