2025.06.18
肝臓・消化器外科
【内視鏡】胃内異物を飲み込んだボクサーの症例紹介
基本情報
- 犬種:ボクサー(女の子・避妊済)
- 年齢:6歳1か月
- 体重:25.0㎏
- 体温:39.6℃
主訴
10日前から嘔吐が見られ、嘔吐の頻度が増したことで来院。症状は日に日に悪化し、食欲もやや低下。なお、10日前に脱走しており、誤食の可能性も考えられる。
診断と治療
腹部のレントゲン検査および超音波検査の結果、胃内に異物がある可能性があると判断しました。同日夜、全身麻酔下にて腹部CT検査と内視鏡検査を実施。内視鏡検査では胃内異物を確認し、CT検査では小腸および大腸内には異物が認められないことを確認しました。その後、腹腔鏡と軟性内視鏡を併用し、約7cmの小切開にて胃内異物の摘出手術を行いました。
CTの映像


内視鏡の映像


手術について
この手術は、おなかと胃を少しだけ切開し、そこからカメラ(内視鏡)を使って胃の中の異物を取り除く方法です。手術中は、口から入れた内視鏡で胃の中をしっかり確認しながら、安全に異物を取り出します。内視鏡で異物がきちんと取れたかどうかをその場で確認できるので、とても安心です。体への負担をできるだけ減らし、確実に治してあげられる、とてもメリットの多い治療方法です。

手術中

手術後(摘出した内容物)
この手術の主なメリット
- 傷口が小さく、動物への身体的負担が少ない
- 術後服の着用が不要なため、ストレスが少なく、皮膚の弱い子やアレルギー体質の子にもやさしい
- 内視鏡で異物の有無を直接確認できるため、異物を確実に除去できる
術後の経過
手術後は入院して点滴を受けながら、まずは24時間ほどごはんやお水を控えて安静に過ごしました。その後、少しずつ食事を再開し、様子を見ながら量を増やしていきました。術後4日目には無事に退院でき、5日目には元気も食欲もすっかり戻り、順調に回復しました。