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2025.06.18
整形外科

クッシング症候群を抱えたTプードルの股関節脱臼を手術で治療した症例

基本情報

  • 犬種:トイ・プードル
  • 性別:女の子
  • 年齢:8歳1か月
  • 体重:4.2kg

ご来院の経緯

高い場所から飛び降りた際に、左後ろ足に痛みを訴えたため、近隣の動物病院を受診されました。麻酔下で一度、脱臼を整復(元に戻す処置)してもらいましたが、痛みが続いていたため、当院を受診されました。

診断と併発疾患

レントゲン検査の結果、左股関節頭背側脱臼(太ももの骨が背中側へ外れた状態)が確認されました。

さらに、血液検査にて脳下垂体性副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)と診断されました。この病気は、ホルモンの異常により脱臼や靱帯の損傷が起こりやすくなることが知られており、そのまま手術を行うと、術後に合併症を起こすリスクが高まります。

そのため、まずはクッシング症候群の内科治療を優先的に実施し、ホルモンバランスを整えてから、股関節の手術を行いました。

手術前の画像

股関節脱臼の治療方針

股関節脱臼の治療では、まず麻酔下で関節を手術せずに整復してみることが一般的です。ただし、約半数のケースで再び脱臼してしまうため、再脱臼が確認された場合には外科手術による根本的な治療が必要です。当院では、元の体の構造にできるだけ近づけることを重視し、最適な整復方法をご提案しています。

手術と経過

このワンちゃんも再脱臼をしていたため、手術による整復を行いました。
さらに、脱臼の再発を防ぐために、人工靱帯を用いた関節包再建術も併用しました。
術後の経過は良好で、手術から2日後には手術した左後肢を着地できるようになり、2週間後にはしっかりと足を使って歩行が可能になりました。

治療後のレントゲン写真