整形外科について
まさき動物病院では開業以来、整形外科疾患について多くの治療に取り組んでまいりました。整形外科疾患には、関節疾患・骨折・脊椎疾患(椎間板ヘルニア含む)・筋肉や靱帯の疾患などがあり、手術を実施しなければならないケースもそうでないことも様々です。
当院では、進歩する治療(手術)技術、新しい知見はもとより、基本をいつも見直しながらご家族に寄り添った最適な治療をご提供します。
そのためにも継続して、定期的なセミナーへの参加や、私自身、恩師の教えを頂きながら研鑽を積んでおります。
整形外科の
症例報告・治療実績
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2025.07.02
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2025.07.02
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2025.06.18
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2025.06.18
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2025.06.18
このような症状はありませんか?
診察室では症状を示さない場合もありますので、ご家族の皆様が少しおかしいと思ったら、
是非ご自身で動画を撮っていただき、まずはお気軽にご相談ください。
- 歩き方がおかしい(足を引きずるなど)
- (何処か分からないが)痛がる様子がある
- (震えて)元気がない
- 足を挙げて歩く
- ふらついて歩く
- 歩こうとしない
- 立ち上がれない
- おしりをふって歩く
ご相談が多い主な病気
骨折編
整形外科疾患(骨折・脱臼)はより高い専門性と経験が必要な治療となります。
人でいう「骨折」は多くの場合、ギブスで治すイメージがあり、手術などの外科治療をしなくても時間とともに治癒すると思われがちです。
動物の場合、写真1のようにひどく骨がずれてしまいます。これをギブスだけで真っ直ぐに治すことは困難です。

従って、動物においての骨折治療は、多くの場合固定手術を必要とします。原理原則を守った治療を行っても、治癒するまでの2~3か月間に再度悪化(癒合不全・再骨折)を生じるケースがあります。昨今は皆様のペットに対する生活環境がかなり良いため、交通事故などによる骨折治療がかなり減少しています。喜ばしい事でありますが、各病院の骨折治療の経験値も少なくなり、積極的に治療する病院数も減少しています。私は開業後18年間骨折治療に取り組み、様々なセミナーや実習、整形外科二次病院の先生方にご指導もいただきながら経験を積んでまいりました。(もちろん誠に申し訳ございませんが、ご家族の皆様にご不安とご迷惑をおかけした経験もございます)近年の当院における整形外科手術症例数は年間約50件※1を数えます。可能な限り1回の手術で完治する様に、原理原則を守りながら、様々な手術方法を選択します。どの手術方法が最良なのか?どんなインプラントを選択すべきなのかは、治療する獣医師の経験に基づいて行われます。従って、たくさんの経験(うまくいかなかった経験も含めて)を培った方法であれば、その方法が最も良い手術方法となります。プレートやスクリューといった骨インプラントは時代とともに急速に変化しております。より確実な治癒を目指し、当院も積極的に導入しております。最新の知見や情報も積極的に学び取り入れております。何より、ご家族の動物たちが、元気な姿で走り回れることを達成できるように、リハビリ分野も含め、安心して治療できる体制づくりに取り組んでおります。
※1出張手術も含む。脱臼手術も含む
当院で用いている創外固定
および骨インプラント固定手術法
- ①プレート内固定法
- ②ロッキングシステムを用いたプレート内固定法
- ③髄内ピン+テンションバンドワイヤー内固定法
- ④髄内ピン+プレート内固定法
- ⑤創外固定法
※2LCP シンセス(株)が提供するLocking Compression Plateシステム
症例

橈尺骨 手術所見 ダブルプレート固定法

橈尺骨骨折整復術 ダブルプレート固定法

橈尺骨 LCPロッキングプレート固定法

橈尺骨 創外固定法

両後肢同時骨折整復症例

肩甲骨骨折 LCPロッキングプレート固定法

尺骨モンテジア骨折整復 髄内ピン+テンションバンド固定法

下顎骨折CT写真および歯科用レジンによる下顎固定 Tプードル
脱臼編
イヌやネコは大きな外傷(落下や交通事故など)により股関節、肩関節や肘関節などが脱臼し強い痛みを伴う場合があります。また、特に小型犬において(ネコにも比較的存在しますが)膝関節の膝蓋骨が内方もしくは外方に先天的に脱臼し痛みや変形を伴う場合もあります。脱臼している関節は時に元に戻し、安静にて治る場合もありますが、残念ながら外科手術をしなければいけないケースも多く存在します。
最も多いケースとしては、小型犬における膝蓋骨内方脱臼(図1)です。ほとんどの小型犬が先天的に罹患しており、強く痛みを伴うケースでは矯正手術をする場合があります。近年、この病気の好発犬種であるTプードルの飼育頭数が増加しているため、不幸にも外科手術になってしまうケースが多く見られます。


(株)インターズー SURGEON76 より抜粋
図2のように大腿骨の滑車溝と呼ばれる溝を深く掘り(ブロックリゼッション)、下腿骨の脛骨粗面を切り取り、外側に移動しピンで固定する(脛骨粗面外方転移術)、緩んだ関節包を切り取り縫い縮めことを組み合わせて整復します。
この手術も原理原則と感覚が大切な手術です。
症例

肩関節外傷性脱臼 ビジョンフリーゼ

人工靭帯による関節再建術後写真
椎間板ヘルニア編
近年好発犬種であるダックスフントの飼育頭数が減少傾向にあるため、椎間板ヘルニアによる四肢麻痺や下半身麻痺にかかる動物たちも減少傾向にあります。当院でも年間40件以上の手術件数がざいましたが、現在は年間10~20件程となりました。
しかしながら、この病気にかかると自由に動けない、場合によっては排尿もできなくなり、生活の質が著しく低下します。
当院では5年前からCT検査装置を導入し迅速な椎間板ヘルニア診断を行えるようにしております。CT結果はご家族の皆様にも大変わかりやすく、一緒に内科・外科治療方法を考えることができます。また、わざわざ他施設に出向いて検査を行い、手術を実施する時間ロスをなくすことができます(MRI検査が必要な場合を除きます)。

手術はわずか数ミリの脊髄神経の周りの骨を削り、脊椎管内に突出し神経を圧迫している椎間板物質を取り除きます。
①脊髄神経へのダメージを最小限にすること。
②可能な限り椎間板物質を取り除くこと。
③手術後の椎骨の安定性を損なわないこと。
が重要となります。
そのためには、獣医療においても手術顕微鏡を用いて繊細に手術することが大切と言われ始めております。
当院でもより手術成績をよくするために、4年前より手術顕微鏡を導入しております。
また、手術方法も脊椎外科セミナーや二次病院の先生方にご指導いただき、最新の治療方法を選択しております。
不幸にも麻痺が取れない動物たちにも更なる治療方法として「幹細胞移植療法」も導入しております。
この病気にかかった動物たちがより早く元の状態に戻れるように今後とも努力してまいります。
前十字靭帯断裂

膝関節の前十字靭帯が部分断裂から完全断裂に移行していく疾患です。以前は、人間の場合と同様に「急激な運動に伴う突然の断裂症」と考えられていましたが、近年の研究にて「部分断裂が徐々に進行し完全断裂に移行する慢性疾患」とされています。
症状は突然の後肢挙上(完全に挙上する場合と、時折着地するような場合とがあります)です。性別、品種に関係なく7歳以上でよく発症します。ただし、1歳以上で発症する場合もあります。合併症として、完全断裂に移行した場合、半月板損傷を伴うことがあります。
診断は、シットテスト、膝関節周囲の触診(バッドレスサイン)、脛骨前方引き出し試験(ドロアーサイン)、脛骨圧迫試験などの感覚的な診察と画像診断検査(膝関節のレントゲン検査・超音波検査、関節鏡検査)、関節穿刺による関節液検査、血液生化学検査を行います。
治療方法は内科的管理と外科療法があります。前十字靭帯断裂症の80%以上で外科介入が必要と言われています。海外の文献では、小型犬は内科管理でもよいとされていましたが、近年治癒までの時間や患肢の負重状態を考えると、やはり小型犬でも外科介入が最も良いとされています。
手術方法は大きく分けて2種類あります。
1.人工靭帯(糸)による関節外法
2.骨切り矯正手術
最新の研究では、2.骨切り矯正手術(TPLO法)の治療成績(術後300日の患肢の力のかけ具合)が最も良いとされています。ただし、人工的に骨を切り、矯正する手術ですから、手術侵襲が大きな方法であり、骨折手術に精通していなければ行えない方法の1つです。また、靭帯が変性(組織が変化していく)し徐々に切れていくため、完全断裂前に前十字靭帯の変化を関節鏡で早期に発見し、完全断裂前にTPLO手術を実施することが一番の方法とされています。
当院では、上記の内容を踏まえ、それぞれの方法の利点欠点を十分に検討し治療補法を選択しております。関節鏡も含め、すべての方法をご提案することが可能です。
症例

前十字靭帯完全断裂レントゲン検査所見

同TPLO整復手術術後写真
整形外科の特色
手術や検査の精度を高める
医療機器を導入しています
高度な医療機器と技術が融合することで、動物たちにとってより安全で負担の少ない整形外科治療を提供しています。

リハビリも専門のスタッフが担当します
術後の痛みを軽減し、できるだけ早く快適な日常生活に戻れるよう、リハビリ専門スタッフがマンツーマンで対応。歩行訓練、関節の可動域改善、筋力維持など、一頭一頭に合わせたプログラムを実施します。ご家族と連携しながら、ご自宅でのケア方法も丁寧にアドバイスいたします。


他の病院様からのご紹介も承っています
骨折、膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂、股関節疾患、神経系の障害など幅広い症例に対応。年間多数の手術実績があり、近隣の動物病院様からのご紹介にも多数対応しております。
難易度の高い症例や、再手術が必要なケースにも柔軟に対応可能です。


その子に合わせた
最適な装具を選定
CT画像から骨の立体モデルを再現することで、動物ごとに異なる骨格や症状に合わせた装具の選定が可能となります。手術の精度も向上し、術後のスムーズな回復にも貢献します。

高い精度の手術計画を
CT画像から骨の立体モデルを再現し、術前にシミュレーションを行うことで、インプラントの位置決めや切開の範囲を正確に計画できます。
これにより、手術の精度と安全性が向上します。

手術前の飼い主様との
コミュニケーションより
スムーズに
実際の骨モデルを使ってご説明することで、手術内容や治療の流れを視覚的にわかりやすくご理解いただけます。
飼い主様の不安を和らげ、納得のいく治療選択につながります。

当院でできること・設備

CT検査

関節鏡

Cアーム

リハビリ
